生きるのに必要ないもの。

人間には衣食住が必要です。

これさえあれば、とりあえず生きてはいけます。

でも、これだけだと寂しいと思いませんか?

コロナの影響で多くの飲食店が休業になり、エンタメ界も公演中止が相次ぎました。

風俗嬢は日々、何か楽しみがないとやってられない職業でもあります。

「〇日には友達と食事だからそれまで頑張ろう」「来月は〇〇のコンサートだ!」と仕事を頑張っていた方は多いでしょう。

実は、風俗嬢自身もそのように思われているんですよ!

風俗は「明日からまた仕事を頑張れる!」そんなエネルギーを与えられる仕事なんです。

 

~北海道胆振東部地震~

私は北海道在住です。

2018年9月の大地震の発生時、私はたまたま関東にいました。

朝起きて同居人からのLINEを見て「何のこと?」と頭の中は???だらけ。

しかしホテルのテレビを点けたら恐ろしい光景が広がっていました。

 

そして…火力発電所がやられて電気が点かない?

北海道全域がブラックアウト…とは??

同居人は何とか車でスマホを充電できたみたいでしたが、夜はありったけの乾電池を集めてランタンの灯りの中でラジオを聞く状態。

余震もあり、特に夜は暗い中で恐怖に耐えなければいけません。

電気がないから冷蔵庫のものもほぼ全滅。

 

そして私は飛行機がいつ飛ぶのかわからず、帰れるのだろうかという不安。

ようやく飛行機が動いたその日、私は帰路につきました。

同居人に頼まれて、羽田空港のコンビニですぐに食べられるものを購入し、スーツケースに詰めました。

 

新千歳空港に到着。

復旧作業にあたってくれた方、こんな時に電車を動かしてくれている方、本当にありがとうという気持ちになります。

駅からタクシーに乗った後、しばらくは街灯も信号も点いていました。

自宅付近は街灯どころか信号も復旧しておらず、運転手さんに道を説明するにも「次…を左折だと思います、多分」という感じでここがどこなのかわからなかったです。

 

ようやく家に着いてもまだ真っ暗。

真っ暗生活を初めて経験した私は、怖くなりました。

 

家にあったトランプやオセロがこんな時に役に立つとは思ってもいなかったです。

だって、電気を使わず遊べるものってこれくらいですから。

 

音楽が聞きたくなりましたが、Wi-Fiもない中ストリーミングやYouTubeを開くのも恐ろしい。

何よりそれで充電が減ってしまうのが怖い。

スマホは空港にいる時に充電してきたけど、情報を追っていればいつなくなるかもわかりません。

なるべく電気の節約。

 

その後、私はスーツケースから、空港で買ってきた食べ物を出しました。

それはパンばかりで「おにぎりが食べたかったのに!」と少しキレられました。

聞くと、何時間も並んでパンは買えてもおにぎりのようなお米は食べられなかったそう。

皆考えることは同じだったようで、おにぎりは羽田空港のコンビニからも姿を消していたのです。

 

~贅沢品は生活必需品~

飽食の時代と言われて久しいですが、お腹が空いたからといって何を食べても美味しいわけではありません。

地震の時は「飛行機に間に合うように一生懸命食べ物を集めてきたのに怒るなよ!」と思いましたが、今なら気持ちはわかります。

 

普段は食べ物に興味を持たない私ですら、例えば入院した時なんかは暇なので食事の時間を軸に行動計画を立てます。

美味しそうな献立なら私でも「楽しみ」と思います。

それが未曾有の大震災ですから…。

 

人生を豊かにするために…。

 

食べたい時に食べたいものを食べる。

好きな音楽を聴く。

映画を見に行く。

気分転換の買い物や美容室、エステ。

友達との何気ないお喋り。

 

ただの生命維持だけならこんなこと必要はありません。

でも私たちは人間なので、より豊かに生きたいと願うのは自然なことです。

 

あの地震の時、幸い私の住んでいる地域は少々揺れは大きかったものの在宅避難で済みました。

それでも出来ることなら美味しいものが食べたい、音楽が聞きたいと私も同居人も思ったのです。

避難所での生活なんて考えたくもありません。

しかし、実際に東日本大震災や九州での豪雨で避難されている方はたくさんいらっしゃいます。

 

生理用ナプキンは贅沢品などと言うバカがいないことを願いますが、被災地にもちょっとした贅沢品が届き心に余裕が生まれれば…と思います。

 

~風俗店もホストクラブも悪ではない~

現在はウィズコロナの生活様式が定着しつつあり、生きることに必要なもの以外はなるべく避ける傾向にあります。

しかし私たちが買い物やホストクラブに行きたくても、お店が開いていなければ行くことはできません。

感染対策は一般市民にも求められています。

 

そして、それは風俗嬢としても同じこと。

風俗はお客様にとってお遊びであって、生きるのに必要なものではありません。

しかし、私たちにとっては仕事であり、風俗がなくなると困ります。

そして、より人生を楽しみたい方にとっても風俗は必要なのです。

 

ある風俗店に勤めている女性コロナに感染したことにより風評被害が広まり、お店ごと潰れてしまったと聞きました。

そんなこと、あってはなりません。

感染者を責めてはいけませんし、ホストクラブも風俗店も責めるべきではありません。

もし責めるならコロナウィルスそのものでしょう。

 

多くのアーティストさんは早くからライブを中止し、CDもろくに発売できない中で無料配信をしてくれました。

もちろん風俗嬢にそれを求めるのは酷ですし、同じ空間にいるからこそ癒してあげられるのが私たちの仕事だと思います。

無駄なLINE交換もストレスになるならしなくて構わないでしょう。

 

ただ、現在は多くの風俗店が再開していても「基礎疾患があって行けない」「高齢の両親と暮らしているから不安で行けない」

そんなお客様がいることを考えられる女性になって欲しいとは思います。

もちろん風俗嬢の中にもそういった理由で出勤を自粛している方もいるでしょう。

 

「電話も鳴ってないし暇だ~!」と嘆くだけではなく、その暇な時間を有効活用して欲しいです。

もし暇疲れするならこの機会に読書なんてどうでしょうか?

スペースがあればちょっとした運動もできます。

過去の接客メモを見返して、次にその方が来た時にどんな接客をしようか考える時間に充てても良いでしょう。

資格の勉強などもはかどりますね。

 

私は暇な時、なるべく寝て体力を温存していたタイプです。

そんな元風俗嬢にこんなこと言われたくないですよね…。

大変失礼しました…。

でもこの先行き不安な時ですから、何か今後のためになることをしていれば必ず身になります。

私は出勤している時以外は仕事のことを考えたくない一心で、寝るのにも飽きた時はネットで接客を勉強し、接客メモを見ていました。

 

~推しの存在が生きるエネルギー~

風俗は生きるのに必要がないものです。

それでも来て下さるお客様に感謝ですよね。

 

なくても生きていけるにも関わらずお金を払って来てくれるお客様に、私たちは全力で応えるしかありません。

昨今は『失敗したくないお客様』が多い傾向にありますので、この子なら自分の意図を汲んでくれる、楽しく過ごせると思ってもらえるような女の子になれば自ずと本指名も増えます。

 

もちろん全員に好かれる必要はありません。

自分のファンを少しでも増やし、推してもらえる存在になりましょう。

 

私もアイドルやアーティスト、俳優などを推しており、日々エネルギーをもらっています。

このような時代ですが、自分も誰かの活力になる存在になれれば向かうところ敵なし!

ランカーと比べる必要はありません。

自分のできることを、できる範囲でやってみてください。

推され続ければ安泰です。

 

この売れなかった元風俗嬢の文章で、「なんだ、私よりヤバいやついるんじゃん」と少しでも明日への活力が沸いた方がいますように!

それではまた。

この記事を書いた人

野田 珠輝

野田 珠輝

専業風俗嬢としてソープをメインにオナクラからSMまで経験。
キャストが安心して働ける環境作りが目標。
風俗でしか働けなかったライター。